歯科医院の資格確認、療担規則が定める4つの方法

歯科医院の資格確認、療担規則が定める4つの方法

「保険証を忘れました」。受付で言われたとき、何をどこまでやれば「確認した」ことになるのか。

先に結論を3つ。①療養担当規則の第3条が、資格を確かめる方法を4つ挙げています。②患者さんのほうから電子資格確認を求められた場合は、医院が選べる方法が2つに絞られます。③そのうえで、緊急でやむを得ない事情があるときのただし書が置かれています。

この条文は受付の手順そのものです。1項ずつ読みます。請求まわりの話はレセプトの返戻が減らない医院に共通することにまとめました。

目次

第1項 ── 挙がっているのは4つ

保険医療機関は、患者さんから療養の給付を求められたときに、その資格があることを確かめなければなりません。確かめ方として、次の4つが並びます(e-Gov法令検索 保険医療機関及び保険医療養担当規則)。

号方法
一電子資格確認。健康保険法の第3条第13項に出てくるものです
二患者が出す、または見せる資格確認書
三前に取ってあるその人の資格の情報を使い、保険者へ先に問い合わせておいて、返ってきた直近のものを確かめる方法
四その他、厚生労働大臣が定める方法

1つめの「電子資格確認」が何を指すかは、健康保険法の第3条第13項に定義があります(e-Gov法令検索 健康保険法)。療養を受けようとする人が、個人番号カードに入っている利用者証明用電子証明書を送る方法などで保険者へ資格の情報を照会し、返ってきた情報が医療機関へ渡り、そこで被保険者などであることの確認を受ける。この一連の流れを指す言葉です。カードをかざす動作そのものではなく、照会から確認までのひとつながりが定義になっています。

3つめには、長い括弧書きが付いています。受けようとしている療養の給付が、住まいでの療養上の管理と、その療養に伴う世話その他の看護に限られること。そしてその医院で、いちど電子資格確認を受けたあと、続けて給付を受けている場合に限ること。訪問診療のような場面を想定した枝だと読めます。

問い合わせの手段も書かれています。条文が置いている大きなくくりは「情報通信の技術を利用する方法」です。そこへ「電子情報処理組織を使用する方法」を、「その他の」でつないでいます。つまり前者は後者の中の例であって、2つが並んでいるのではありません。

ただし書 ── 確かめられないとき

第1項には、ただし書が付いています。緊急やむを得ない事由があって確認を行うことができない患者。そのうち、資格があることが明らかな人。この人たちは、この限りでないという書き方です。

「であって」でつながっている点に気をつけてください。緊急やむを得ない事由で確認ができないことと、資格が明らかであること。片方だけでは、ただし書に乗りません。「急いでいたから」も「いつもの患者さんだから」も、それ単体では条文の言う形になりません。

第2項 ── 患者が電子資格確認を求めたとき

第2項は、読み替えという形で書かれています。患者さんが電子資格確認で確認を受けたいと求めた場合、第1項の本文にある「いずれかの方法」という言い方を、第1号と第3号だけに絞って読む。ただし書のほうも同じで、確認ができないという部分を、第1号と第3号の方法でできない、と絞って読む。そういう作りです。

言い換えると、患者さんがマイナンバーカードで確認を受けたいと言ったときに、医院が選べるのは第1号か第3号です。第2号(資格確認書)や第4号へ振り替えることは、ここでは想定されていません。

受付の実務でいえば、患者さんがマイナンバーカードを出したのにカードリーダーが動かない、という場面がこの項に掛かります。そのとき資格確認書を出してもらう形へ切り替えてよいかは、第2項の読み替えでは出てきません。機械の側に事情があるときの扱いは、ただし書の読み替えのほうで考えることになります。

第3項 ── 第2項が当たらない医院がある

第3項は、第2項が当たらない医院を決めています。「療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求」についての命令があり、その附則の第3条の4第1項によって書面で請求している医院と、第3条の5第1項によって届出をした医院。この2つには、第2項が適用されません。

紙のレセプトで請求している医院や、所定の届出をしている医院が、ここに当たります。自院がどちらなのかは、請求の方法を見れば分かります。どの条文が自院に効いているかで、受付の動きが変わるということです。

第4項 ── 体制を整えておく義務

第3条には、もう1つ第4項があります。第2項が働く場面について、患者が電子資格確認で資格を確かめてもらえるよう、医院はあらかじめ必要な体制を整えておかなければならない、という定めです。前の第3項が当たるもの、つまり書面で請求している医院などは、冒頭の括弧書きで外れます。

ここまでの3項は「求められたらどう確かめるか」でしたが、第4項はその日が来る前に用意しておくことを求めています。カードリーダーが動かない、という話は、本当はこの項に返ってきます。「今日は機械の調子が悪くて」を毎日 続けられる作りにはなっていません。

受付の紙に、何を書いておくか

条文を、受付の動きに置き換えます。

  1. 患者さんが何を出したかを、まず見る。マイナンバーカードか、資格確認書か、どちらも無いか。
  2. 電子資格確認を求められたら、第1号か第3号。第3号は訪問診療などの枝が付いているので、外来では第1号が中心になります。
  3. どちらも無いときに、ただし書へ行けるか考える。緊急でやむを得ない事情と、資格が明らかであること。2つそろっているかを見ます。
  4. そろっていなければ、資格が確かめられる形をつくる。後日の持参をお願いする、といった運用は、医院ごとに決めておくことになります。
  5. その日の判断を残す。確認できなかった理由と、どう扱ったか。返戻が来たときに、たどれる形にしておきます。
  6. 機械が動かない日を、例外として扱う。第4項が体制の整備を求めているので、動かない状態が続くこと自体が別の問題になります。

5つめは、受付の人が変わっても同じ動きになるようにするためのものです。院内の掲示や案内を直すときは、歯科医院の医療広告ガイドライン、点検する8か所もあわせて見てください。

まとめ

  • 資格を確かめる方法は、療養担当規則 第3条第1項に4つ挙がっています。電子資格確認、資格確認書、保険者へあらかじめ問い合わせる方法、その他 厚生労働大臣が定める方法です。
  • 3つめには、居宅における療養上の管理などに限る枝と、電子資格確認を受けてから続けて給付を受けている場合に限る枝が付いています。
  • 第1項のただし書は、緊急でやむを得ない事情で確認できない患者であって、資格が明らかなものが相手です。2つそろって初めて効きます。
  • 患者が電子資格確認を求めた場合、医院が選べるのは第1号か第3号になります(第2項の読み替え)。
  • 書面で請求している医院や、所定の届出をした医院には、第2項が適用されません(第3項)。
  • 第3項で外れる医院を除き、患者が電子資格確認で資格を確かめてもらえる体制を、あらかじめ整えておく義務があります(第4項)。

受付でとっさに判断するのは大変です。だからこそ、順番を紙1枚にしておく値打ちがあります。

当たった資料

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事務長AIには、受付の決めごとを置く「マニュアル」と、レセプトの状況を見る「レセプト」があります。院内の掲示や案内の直しは「SNS・ホームページ」と「タスク」で追えます。届出まわりは「施設基準・届出」です。

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この記事を書いた人

近藤 宏海
近藤 宏海 株式会社ガラパゴスワークス 代表取締役

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私は歯科医院の事務の現場で、医院の開業から日々の運営まで、発注・納品・人の手続き・お金の管理を担ってきました。いまは歯科医院の開業コンサル・経営コンサルとして、ほかの医院の立ち上げや立て直しにも関わっています。

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