保険医療機関の指定は6年、歯科医院の更新手続き

保険医療機関の指定は6年、歯科医院の更新手続き

保険医療機関の指定を受けたのは、何年の何月でしたか。開業のときに一度出したきりで、そのあと何もしていない。それで保険診療を続けられているので、期限があること自体を意識していない、という院長もいると思います。

先に結論です。保険医療機関の指定は、指定の日から6年で効力を失います(健康保険法第68条第1項)。ただし、歯科医師が個人で開いていて、その院長だけが診療している診療所などは、何も申し出なければ申請があったものとして扱われます(同条第2項)。勤務の歯科医師を雇っている医院や、医療法人の医院は、この扱いの条件を自分で確かめる必要があります。この記事では、どの医院が「申請なしで続く」のか、更新の申請では何を出すのかを、条文と厚生局のページで確かめます。

目次

指定は6年で切れる ── 健康保険法第68条

健康保険法第68条第1項によると、保険医療機関の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときに、その効力を失います。指定そのものは、開設者の申請によって行われます(第65条第1項)。

ここからは筆者の読み方です。指定が切れたあとの診療は、保険医療機関としての診療ではなくなります。6年は指定の日から数えるので、まず、指定を受けたときの通知で日付を確かめてください。

申請を出さなくても続く医院 ── 第68条第2項と省令第9条

健康保険法第68条第2項は、厚生労働省令で定める保険医療機関について、申請の手間を省く決まりを置いています。指定の効力を失う日の前6月から、同じ日の前3月までの間に、別段の申出がなければ、指定の申請があったものとみなす、という内容です。病院と、病床を有する診療所は、この決まりの対象から除かれています。

どの医院が対象かは、指定と登録の手続きを定めた省令(以下、指定省令。正式な名前は記事の末尾に書きます)の第9条が決めています。診療所については、開設したのが保険医である医師若しくは歯科医師で、次のどちらかに当たるものです。

  • 指定を受けた日から、おおむね引き続き、開設者である保険医のみが診療に従事している
  • 指定を受けた日から、おおむね引き続き、開設者である保険医と、その人と同一の世帯に属する家族(配偶者、直系血族若しくは兄弟姉妹)である保険医のみが診療に従事している

もう1つ、第68条の2の決まりがあります。都道府県知事の要請や勧告に関わる場合に、3年以内の期限を付けて指定する、というものです。この期限が付いた指定には、第68条第2項は適用されません(第68条の2第2項)。

ここからは筆者の読み方です。条文を歯科医院に当てはめると、次のように分かれます。

医院の形第68条第2項の扱い(筆者の読み方)
個人立で、院長ひとりが診療している省令第9条のうち、1つ目に当たる。別段の申出がなければ、申請があったものとみなされる
個人立で、院長と、同じ世帯の配偶者・直系血族(親や子など)・兄弟姉妹の歯科医師だけが診療している省令第9条のうち、2つ目に当たる
個人立で、勤務の歯科医師(家族以外、または別の世帯の家族)がいる「のみ」の条件から外れる。更新の申請が要ると考えて、厚生局に確かめる
医療法人が開設している開設者が保険医である歯科医師その人ではない。更新の申請が要ると考えて、厚生局に確かめる

「おおむね引き続き」がどこまでを指すのかは、条文からは読み取れません。非常勤の歯科医師に週1日だけ来てもらっている、以前は勤務医がいたが今はいない、といった医院は、自分で判断せず、管轄の厚生局の事務所に確かめてください。

更新の申請で出すもの ── 省令第3条

指定省令の第3条第1項によると、指定を受けようとする開設者は、様式第1号の指定申請書に書類を添えて提出しなければなりません。出す先は、医院の所在地を管轄する地方厚生局長等です。診療所に関係する添付書類は、次のとおりです(第4号は病院と療養病床を有する診療所、第6号は薬局の書類なので、ここでは省きます)。

  • 第1号:診療所の使用許可証又は許可書若しくは届書の写し
  • 第2号:保険医(管理者を除く)の氏名、保険医の登録の記号及び番号、担当診療科名を書いた書類
  • 第3号:第2号に書いた人を除いた、医師・歯科医師・薬剤師それぞれの人数を書いた書類
  • 第5号:管理者となろうとする人が、健康保険法第70条の2第1項の要件を、どれも欠かさず満たしていることを証する書類

同じ項のただし書きによると、6年の期限にあたって引き続き指定を受けようとするときは、第1号の書類は付けなくてかまいません。

第5号が指している健康保険法第70条の2第1項は、保険医療機関の管理者の要件です。第1号は、保険医であること。第2号は経験の要件で、医師と歯科医師を分けて書いています。歯科医師のほうは、臨床研修を修了したあと、保険医療機関で保険医として3年以上診療に従事した経験です。条文はこれを「その他の」でつないで、厚生労働省令で定める要件を備える者、とまとめています。管理者は、第1号と第2号のいずれにも該当する人でなければなりません。

この要件が施行されたのは令和8年4月1日です。健康保険法の末尾に載っている改正法の附則第7条によると、施行の際現に保険医療機関の管理者である人には、施行の日から起算して3年が経過する日までの間、第70条の2第1項は適用されません。ただし、引き続きその保険医療機関の管理者である間に限ります。施行の際現に臨床研修等修了歯科医師である人(附則第7条の適用を受ける人を除く)には、第2号の経験の部分を読み替える決まりもあります(附則第8条)。

実際の案内は厚生局ごとに出ています。関東信越厚生局のページは、手数料は無し、提出は窓口か郵送、更新以外の申請はできるだけ窓口で、と案内しています。指定申請書の受付の際に、社会保険と労働保険への加入状況を確認する、とも書いています。東北厚生局のページは、指定更新のときに必要な添付書類は、管轄の各県事務所等から案内する、としています。

上で見たとおり、指定申請書には、管理者以外の保険医の氏名と、登録の記号及び番号を書いた書類を付けます(省令第3条第1項第2号)。関東信越厚生局は、受付の際に社会保険と労働保険への加入状況を確認するとしています。ここからは筆者の読み方です。勤務医の登録の記号と番号、医院の加入の状況は、申請の前に手元で揃えておきます。加入の線引きは歯科医院の社会保険、加入義務は個人立の常時5人からにまとめました。管理者の要件を証する書類に何を使うかは、今回読んだ条文とページには出てきません。更新が近い医院は、自院の管理者が附則の経過措置に当たるかどうかとあわせて、厚生局の案内で確かめてください。

6年のあいだの変更は、その都度の届出 ── 省令第8条

指定省令の第8条第1項によると、保険医療機関の開設者は、次のいずれかの事由が生じたら、速やかに届け出なければなりません。届け出るのは、その事由と、生じた年月日です(第4号は薬局の話なので省きます)。

  • 第1号:保険医療機関の管理者、又は保険医に異動があったとき(管理者の異動のときは、上の第5号の書類を添付する)
  • 第2号:健康保険法第80条第8号から第10号までの規定に該当するに至ったとき
  • 第3号:そのほか、指定申請書に書いた事項(病床数等を除く)、又は上の第2号の書類に書いた事項に変更があったとき

同じ条の第2項によると、開設者に異動があったときは、旧開設者が、速やかに届け出なければなりません。

ここからは筆者の読み方です。勤務の歯科医師が入った・辞めたは、第1号の「保険医の異動」です。更新の申請書には保険医の名前を書くので、6年のあいだの届出が漏れていると、更新のときに食い違いが表に出ます。施設基準の届出と同じで、人が動いたときに届出を思い出せるかどうかが分かれ目です(施設基準のほうは施設基準の届出は出したのに、算定していない項目に書きました)。

今日からできること

  1. 指定の日を確かめる。指定を受けたときの通知を探します。見つからなければ、管轄の厚生局の事務所に聞きます。
  2. 6年後の日付と、その前6月・前3月にあたる日を書き出す。院長ひとりの医院でも、別段の申出をする場合の期間がここです。
  3. 自院が省令第9条の「のみ」に当たるかを見る。勤務の歯科医師がいる、法人にした、という医院は、更新の申請が要る前提で厚生局に確かめます。
  4. 勤務医の入退職の届出を見直す。届け出ていない異動があれば、更新を待たずに届け出ます。

それでも残る面倒

6年に1回の手続きは、前回のことを誰も覚えていません。院長が覚えていても、書類を書くスタッフは入れ替わっています。また、この記事は更新だけを扱いました。個人立から医療法人にしたとき、移転したとき、親から子へ引き継いだときの指定の扱いは、この記事では扱っていません。こうした場面は、早めに厚生局に相談してください。

まとめ

  • 保険医療機関の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときに効力を失う(健康保険法第68条第1項)
  • 保険医である歯科医師が開設し、おおむね引き続きその開設者のみ(または開設者と同一の世帯の配偶者・直系血族・兄弟姉妹である保険医のみ)が診療している診療所は、効力を失う日の前6月から前3月までの間に別段の申出がなければ、申請があったものとみなされる(同条第2項・指定省令第9条)
  • それ以外の医院は、様式第1号の指定申請書に書類を添えて、管轄の地方厚生局長等に提出する(指定省令第3条)
  • 管理者や保険医の異動などは、速やかに届け出る(指定省令第8条)
  • 自院がどちらに当たるか迷うときは、厚生局に確かめる

当たった条文と厚生局のページ

事務長AIなら、ここが変わります

事務長AIの「期限」(開いた先の見出しは「これから来るもの」)に、指定が切れる日を「何の期限か」「期限の日」「担当」と一緒に登録しておけます。6年先の日付でも、覚えておくのは人ではなく画面の側になります。更新の申請書を作る機能はありません。書類は、これまでどおり厚生局の様式で出します。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

歯科医院 × AI

この記事の作業、
事務長AIなら画面の順番どおりに進むだけです。

発注・お金・人・シフト・集患。紙とファックスの仕事を、ひとつの画面に。
やることが画面に並び、誰が何をしたかが残ります。院長は承認だけです。

1医院あたり 月額

29,800円 (税抜)

先着10医院様は、初期費用300,000円が無料

30分、画面を見てみる

フォームは1分で終わります。しつこい営業はしません。できないことも、その場で正直にお伝えします。

この記事を書いた人

近藤 宏海
近藤 宏海 株式会社ガラパゴスワークス 代表取締役

院長、その事務、ひとりで抱えていませんか。

私は歯科医院の事務の現場で、医院の開業から日々の運営まで、発注・納品・人の手続き・お金の管理を担ってきました。いまは歯科医院の開業コンサル・経営コンサルとして、ほかの医院の立ち上げや立て直しにも関わっています。

現場で「これがあれば」と感じたものを、自分の手で形にしたのが「事務長AI」です。いまも導入先の医院で使っていただきながら、改良を続けています。

記事では、現場で実際にぶつかった困りごとを、公的な資料で裏付けながら、明日から使える形でお伝えします。

代表あいさつを読む

目次