歯科ユニットの耐用年数は7年、別表の読み方

歯科ユニットの耐用年数は7年、別表の読み方

ユニットを入れ替える見積もりを見ながら、「これは何年で経費になるのか」と考えたことはありませんか。決算のたびに税理士から償却費の額だけを聞いて、年数の根拠は見たことがない、という院長もいると思います。

先に結論です。歯科診療用ユニットの法定耐用年数は7年です。根拠は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第一で、器具及び備品の「医療機器」の中に、歯科診療用ユニットという行があります。同じ表に、消毒殺菌用機器は4年、レントゲンその他の電子装置を使用する機器は4年か6年、と並んでいます。この記事では、別表のどこを見ればよいか、買った年にいくら経費になるのか、中古で買ったときはどう数えるのかを、条文と国税庁のページで確かめます。

なお、国税庁のページは所得税(個人で開業している医院)の説明です。医療法人は法人税の決まりで計算するので、この記事では扱いません。

目次

耐用年数は別表第一の「医療機器」に書いてある

国税庁のタックスアンサー No.2100 減価償却のあらましによると、ユニットのように何年も業務に使う資産は、買った年に代金をまるごと経費にはできません。使える期間に割りふって、1年ぶんずつ経費にしていきます。その期間の物差しが法定耐用年数で、財務省の省令の別表に載っています。

その財務省令が、減価償却資産の耐用年数等に関する省令です。別表第一の「器具及び備品」に「8 医療機器」という区分があります。年数の短い順に並べ替えると、次のとおりです。

別表第一「医療機器」の細目耐用年数
その他のもの ── 陶磁器製又はガラス製のもの3年
消毒殺菌用機器4年
移動式のもの、救急医療用のもの及び自動血液分析器(レントゲンその他の電子装置を使用する機器のうち)4年
手術機器5年
その他のもの ── 陶磁器製・ガラス製でも、主として金属製でもないもの5年
調剤機器6年
ハバードタンクその他の、作動部分を有する機能回復訓練機器6年
光学検査機器 ── ファイバースコープ6年
レントゲンその他の電子装置を使用する機器 ── 移動式などに当たらないもの6年
歯科診療用ユニット7年
血液透析又は血しょう交換用機器7年
光学検査機器 ── ファイバースコープ以外8年
その他のもの ── 主として金属製のもの10年

ここからは筆者の読み方です。表に名前が出てくる歯科の機器は、ユニットだけです。滅菌器やエックス線装置、口腔内スキャナーのように名前が出てこない機器は、上の表のどの行に当たるかを1台ずつ決めることになります。行が1つ違うと年数が変わり、毎年の経費の額も変わります。見積書の品名だけで決めず、税理士か税務署に確かめてください。

買った年に、いくら経費になるのか

国税庁のタックスアンサー No.2106によると、平成19年4月1日以後に取得した資産に定額法を使う場合、1年ぶんの償却費は、取得価額に償却率を掛けて出します。額は原則として毎年同じです。償却率は耐用年数省令の別表第八にあり、7年の欄は0.143です。

年の途中で買った年は、1年ぶんを12等分し、業務に使っていた月の数だけを経費にします(同じページの注)。取得価額に入るのは、本体の値段だけではありません。購入した資産なら、運賃・運送保険料・購入手数料なども代金の側に含め、さらに、使える状態にするための費用を足します。償却できるのは、有形の資産なら、取得価額から1円を引いた額までです(坑道は別の扱いです)。

定額法と定率法のどちらを使うかは、届出で決まります。No.2100 によると、方法は資産の種類ごとに選び、税務署長に届け出ます。開業した場合の期限は、開業した年の翌年の3月15日です。届け出ていなければ法定の方法で計算します。同じページは、法定の方法は一般的には旧定額法か定額法だ、と説明しています。あとから方法を変えるには、承認が要ります。変えたい年の3月15日までに、申請書を税務署長あてに出します。

ここからは筆者の読み方です。ユニットを年の終わり近くに入れると、その年に経費にできるのは、1年ぶんの償却費のうち使った月数のぶんです。「今年の利益が多いから年内に買う」という判断をするときは、この月割りを先に計算に入れておく必要があります。

10万円・20万円・40万円の線

耐用年数で分割するのが原則ですが、取得価額が小さいものには別の扱いがあります。No.2100の注に、3つの線が出てきます。ページの基準日は令和8年4月1日です。

  • 10万円未満のもの、または使える期間が1年未満のもの:使い始めた年に、全額を経費にする
  • 10万円以上20万円未満のもの:一定の要件を満たせば、まとめて3年で経費にできる。まとめた合計額の3分の1ずつを、使い始めた年から3年間に分ける形。全部をまとめても、一部だけを選んでまとめてもよい
  • 10万円以上40万円未満のもの:青色申告をしていて一定の要件を満たす人の特例。使い始めた年の経費にできる。ただし、その年のぶんの取得価額を足していき、合計が300万円に達するまで。対象になる取得の時期は、平成18年4月1日から、令和11年3月31日まで。取得が令和8年3月31日までのものは、上の幅が10万円以上30万円未満になる。3年に分ける扱いを選んだものは、この特例の対象から外れる

同じ注には、あと2つ条件があります。1つ目は貸付けです。令和4年4月1日以降に取得して人に貸している資産には、上の3つとも使えません(貸付けが主要な業務である場合を除きます)。2つ目は消費税です。10万円や40万円の線を税込で見るか税抜で見るかは、帳簿の付け方で決まります。税込経理なら税込の額、税抜経理なら税抜の額です。免税事業者は税込で見ます。

ここからは筆者の読み方です。機器を買うときは、見積りの金額がこの3つの線のどこに当たるかを先に見ておきます。3つ目の特例は、取得した日が令和8年3月31日までか、そのあとかで、上限の金額が違います。「一定の要件」の中身は、このページには書かれていません。使う前に税理士に確かめてください。

中古のユニットを買ったとき ── 省令第3条

耐用年数省令第3条第1項は、個人が使っていた、又は法人が事業に使っていた資産を取得して、自分の業務や事業に使う場合の年数を定めています。別表の年数にかかわらず、次の年数によることができる、という決まりです。

  • 第1号:使い始めた時から、あと何年使えるかを見積もった年数
  • 第2号:第1号の見積もりが困難なものに限って使える計算。対象は別表第一・第二・第五・第六に載っている資産
    • 法定耐用年数をすべて過ぎている資産は、法定耐用年数の百分の二十にあたる年数
    • 法定耐用年数の途中まで過ぎている資産は、法定耐用年数から経過年数を引き、そこに経過年数の百分の二十にあたる年数を足した年数
    • 出た年数が2年に満たないときは、2年

同じ項にはただし書きがあります。その資産を使えるようにするために掛けた資本的支出が、資産の取得価額の百分の五十を超える場合、第2号の計算は使えません。

ここからは筆者の読み方です。居抜きで引き継いだユニットや、中古で買ったユニットは、新品の7年ではなく、この計算で短い年数になることがあります。計算には「前の持ち主が何年使ったか」が要るので、売買の契約のときに、製造年や使い始めた時期が分かる書類をもらっておくと、あとで困りません。計算で出た年数の端数の扱いは、この条文には書かれていません。税理士に確かめてください。

今日からできること

  1. 固定資産の一覧を税理士からもらう。決算書に付いている減価償却の明細で、ユニットや滅菌器が何年で計算されているかを見ます。
  2. 年数を、別表第一の行と見比べる。ユニットが7年以外になっていたら、中古の計算なのか、別の行に入れているのかを聞きます。
  3. 買った日と使い始めた日を控える。月割りの計算と、40万円未満の特例の判定で、日付が要ります。納品書や請求書と一緒に残します。帳簿や書類を何年置くかは歯科医院のカルテ保存期間は5年 ── 帳簿は何年かにまとめました。
  4. 入れ替えの予定を、償却が終わる年と並べる。何年目のユニットが何台あるかが分かると、入れ替えの順番を決めやすくなります。

それでも残る面倒

法定耐用年数は、税金の計算のための年数です。その機器が実際に何年使えるかとは別の話で、7年を過ぎたユニットが使えなくなるわけではありません。逆に、7年たつ前に修理がかさむこともあります。修理代がその年の経費になるのか、資産に足して償却するのか(資本的支出)の線引きは、今回読んだ2つのページには出てきません。

償却費は、材料費や人件費と違って、毎月お金が出ていく費用ではありません。費用の内訳を統計と比べる見方は歯科医院の材料費率、どこまでが適正かで扱いました。

まとめ

  • 歯科診療用ユニットの法定耐用年数は7年。耐用年数省令の別表第一「器具及び備品」の「医療機器」にある
  • 同じ区分に、消毒殺菌用機器4年、レントゲンその他の電子装置を使用する機器4年・6年などが並ぶ。名前が出てこない機器は、どの行に当たるかを税理士か税務署に確かめる
  • 定額法は「取得価額×定額法の償却率」。7年の償却率は0.143。年の中途で取得した年は、業務に使用していた月数で月割りにする
  • 10万円未満は全額をその年の必要経費に。10万円以上20万円未満、10万円以上40万円未満(取得が令和8年3月31日までなら30万円未満)には、一定の要件の下で別の扱いがある
  • 中古は省令第3条。使用可能期間を見積もるか、見積もることが困難なものに限り、経過年数から計算する(2年に満たないときは2年)

この記事で当たった省令と国税庁のページ

事務長AIなら、ここが変わります

事務長AIの「機器・契約の台帳」に、機器の名前・設置場所・総額(税込)・いつから使っているかを残せます。耐用年数や償却費を計算する欄はありません。減価償却の計算は、これまでどおり税理士や会計ソフトの仕事です。医院の側で「どの機器を、いつ、いくらで入れたか」を1か所で見られるようにしておく、という使い方になります。

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この記事を書いた人

近藤 宏海
近藤 宏海 株式会社ガラパゴスワークス 代表取締役

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私は歯科医院の事務の現場で、医院の開業から日々の運営まで、発注・納品・人の手続き・お金の管理を担ってきました。いまは歯科医院の開業コンサル・経営コンサルとして、ほかの医院の立ち上げや立て直しにも関わっています。

現場で「これがあれば」と感じたものを、自分の手で形にしたのが「事務長AI」です。いまも導入先の医院で使っていただきながら、改良を続けています。

記事では、現場で実際にぶつかった困りごとを、公的な資料で裏付けながら、明日から使える形でお伝えします。

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